書評: エリック・シュミット(著), ジョナサン・ローゼンバーグ(著)『How Google Works ― 私たちの働き方とマネジメント』 みすず書房

書評: エリック・シュミット(著), ジョナサン・ローゼンバーグ(著), アラン・イーグル(著), ラリー・ペイジ(序文), 土方奈美(訳)(2014/10) 『How Google Works ― 私たちの働き方とマネジメント』 みすず書房



大変意義深い本であったので、メモしながら、自分の意見もまじえて書評を書いた。


書評



本書の言うスマート・クリエイティブが自分の理想像のような気がしたので、詳しく知る為に読んだ。

とてもおもしろい本だった。冒頭から末尾まで、興味深く、身近なプロダクトが誕生した背景、そしてユーモアを織り交ぜられた文章に知性が感じられた。

大事なのは技術的アイデア

グーグルの成功の要因は独自の技術的アイデアを重視する文化だ。どのプロダクトも論文に載るような技術が使われている。そして、

たしかに、従来型のマーケティング調査してユーザーのオピニオンに振り回されながら、「たしかに欲しかったけど、何だか違う」という商品を開発したり、技術もない人が「アイデアで勝負」などと言っているのには、若干の違和感を感じていた。そういったものは、家電量販店や雑貨屋さんに溢れている。それらは、業界、社会、会社に漸次的変化しかもたらさない。

本書は、技術的アイデアをもとにして、プロダクトを作るべきだと言う。プロダクトには会社や市場を激変させるだけの力がある。優れたプロダクトはマーケティングや広告などしなくても、一人で市場を開拓して席捲する。

僕もこの点は同意した。世界を動かすのテクノロジーだと思っている。 もちろん、それれは、世界の一面に過ぎないし、別の人は金と酒と女だとか言うだろう。研究開発や科学技術がパラダイムシフトを起こして世の中を一気に押し進める。例えば、車輪や印刷技術やインターネットだ。

後日、テクノロジーに関して考察した記事を上げるつもりだ。

スマート・クリエイティブという人種になろう

スマート・クリエイティブと呼ぶような人材を採用して、自由と権限を与えて存分に働かせろと言う。
どういう人たちかというと、後ほど詳述するが、このような人たちだ。
  • 専門スキルの能力が高い
  • 自主的
  • リスクを恐れない
  • コミュニケーション好き
  • 分野を横断した好奇心
  • 学習意欲の高い
彼らは自分の好きな仕事、日頃の問題意識を解決するプロダクトのプロトタイプを作成、その改良を繰り返していた。収益や計画に沿うことには関心がなかった。彼らは、従来型の型にはまった取り扱いを嫌った。グーグルは大学院の雰囲気を持って生まれたベンチャーであり、誰も経営の仕方などわからなかったのだ。。

本書は言う。スマート・クリエイティブの真価を発揮できるような環境づくりが大事だ。彼らが、優れたプロダクトを作り、市場を一変させ、会社を変える。

ぜひとも自分もそのような人材になりたいと思った。パソコン大好きだけど会話ができずtwitterに張り付いてる人も困るし、金につられる睫毛パサパサ巻髪クルクルの女と毎日ホムパしてる人も困る。

求職中の人にもオススメ

本書は、休職中の学生、転職活動中の人、起業したい人、既に起業した人、科学技術で世の中をよくしたいと思っているにもおすすめされたい。本書にはスマート・クリエイティブの条件や、採用の規準が載ってある。

従来型の企業とITベンチャー企業が二項対立に見えることもある。それは、シュミットによれば誤解らしい。しかし、一部の要素や傾向に注目して、二項対立を見ることはできるだろう。例えばこのようなものだ。


  • 従来型の毎日平常運転の伝統企業 vs カオス状態のベンチャー会社
  • 給与は年功序列 vs 実力主義
  • 階層組織でサラリーマン出世が栄誉の会社 vs チームワーク重視の会社
  • 上の人ほどオフィスが広く美人な秘書がドア前に並ぶ会社 vs 上の人が床掃除してる会社
  • スーツ着るか vs 「服着てればいい」と皆が考えるか

それらと自分自身の価値観を照らし合わせると、自分がどのような文化に惹かれるのかが見えてくる(スマート・クリエイティブは自身の価値を発揮するのに文化が一番大事だと考える)。


本書のメモしておきたかった引用


以下、本書を要約しようと思ったが、あれもこれもになってしまって、要約とは呼べないものになった。。後になって「あれ、何て書いてあったかな」と、思い出したとき、本記事ですぐ確認できるよう、このままにした。また、本書を参照しやすいよう、目次やページ目次と同じ見出しも振った。

はじめに

この章だけでも読む価値はあった。自分の知りたかったこと、スマート・クリエイティブがどういった人間であるかが述べられていた。

「エンジニアと話してこいよ」

グーグルが当初よりエンジニア中心だったことを物語る。ジョナサンが入社して数ヶ月、二年先までのプロダクト計画を提出したが、ラリーは、「計画はぼくらの手足を縛るだけだ。エンジニア連中のところに行って、話をしてみろよ。」
ラリーの言う「エンジニア」は、従来型の定義に当てはまるような存在ではないのだ。たしかにグーグルのエンジニアはとびきり優秀なプログラマやシステムデザイナーだが、卓越した技術知識に加えて経営にも詳しく、発想力も豊かだ。大学院の雰囲気をそのまま経営に持ち込んだラリーとセルゲイは、そんなエンジニアたちに常識を超える自由と権限を与えた。彼らを従来型の経営計画の枠組みで管理しようとしても、うまくいくはずがない。参考にはなるかもしれないが、手足をしばるリスクもある。P.22

フィンランド計画

これは、マイクロソフト社対策のことだ。グーグルの成功の最大の理由の一つは、事業計画が計画らしくなく、何も経営ノウハウがわからなかったことだ。財務予想や収入源に関する議論はせず、パートナー企業の希も、市場調査も行わず、セグメンテーション、ターゲットや広告という考えもない。チャネル戦略、広告販売についても議論なし。セールス部門やエンジニア部門といった組織図の概念もない。何をいつまでにつくるかの製品ロードマップもない。予算もない。取締役会や経営陣が進捗把握に使う目標やマイルストーンもない。
引用中の世界最強のテクノロジー会社とは、マイクロソフト社のことだ。
どのように会社をつくっていくか、もう少し具体的に言えば、ラリーとセルゲイの「エンジニアに聞け」の精神を守りつつ、世界最強のテクノロジー会社に立ち向かい、世界数十億人の生き方を変えるという壮大な志を遂げられるような会社をどのようにつくるかという戦術への言及もなかった。触れなかった理由は簡単だ。どうやればいいのか、わからなかったからだ。P.26

"スマート・クリエイティブ"

まず、グーグルがスマートクリエイティブと呼ぶ人種に触れる。本書を通して繰り返される言葉で、とても重要だ。
通常、最も価値のある知識労働者とは、限られたスキルに習熟することで、制約の多い企業組織で成功する人材だ。変化は求めない。彼らが優れた人材でいられるのは、組織のいまの状態だからだ。P.34
そして、優れた組織では、部署を二三年ずつ経験させる経営幹部養成トラックを設けているが、それにも問題がる。
だがこの仕組みは専門能力ではなく、経営能力を高めることを目的としている。この結果、従来型企業で働く知識労働者のほとんどは、専門分野には秀でていても能力に幅がないか、幅広い経営能力を備えていても専門性に欠けるかのどちらかになる。P.34 
そして、スマート・クリエイティブがどういう人間かについて叙述が続く。
グーグルの社員は特定の任務にしばられていない。会社の情報やコンピューティング能力に自由にアクセスできる。リスクテイクもいとわず、またそうしたリスクをともなう取り組みが失敗したとしても処罰や不利益を受けることはない。職務や組織構造に束縛されることはなく、むしろ自分のアイデアを実行に移すよう奨励されている。納得できないことがあれば、黙ってはいない。退屈しやすく、しょっちゅう職務を変える。多才で、専門性とビジネススキルと想像力を併せ持っている。要するに、少なくともう従来の意味での知識労働者ではないのだ。私たちが「スマート・クリエイティブ」と呼ぶ新種で、インターネットの世紀での性交のカギを握る存在だ。P.34
具体的には、次のように続く。少し長いが、具体的にイメージできる内容なので引用した。
 スマート・クリエイティブは、自分の"商売道具"を使いこなすための高度な専門知識を持っており、経験値も高い。(中略)実行力に優れ、単にコンセプトを考えるだけでなく、プロトタイプをつくる人間だ。分析力も優れている。 
 データを扱うのが得意で、それを意思決定に生かすことができる。同時にデータの弱点もわかっており、 いつまでも分析を続けようとはしない。データに判断させるのは構わないが、それに振り回されるのはやめよう、と考える。 
 ビジネス感覚も優れている。専門知識をプロダクトの優位性や事業の成功と結びつけて考えることができ、そのすべてが重要であることをわかっている。 
 競争心も旺盛だ。成功にはイノベーションが不可欠だが、猛烈な努力も欠かせない。スマート・クリエイティブは頂点を目指す意欲にあふれ、それが朝九時から夕方五時の勤務では成し遂げられないこともよくわかっている。 
 ユーザのこともよくわかっている。どんな業界に身を置いているかにかかわらず、スマート・クリエイティブはプロダクトを誰よりもユーザ目線、あるいは消費者の視点から見ることができる。自らが「パワー・ユーザ」で、興味の対象に取りつかれたようにのめり込む。(中略) 
 スマート・クリエイティブからは消火ホースのように、本島の意味で斬新なアイデアがほとばしり出る。他の人とはまったく違う視点があり、ときには本来の自分とも違う視点に立つ。必要に応じて、カメレオン的に視点を使い分けることができるからだ。 
 好奇心旺盛だ。常に疑問を抱き、決して現状に満足せず、常に問題を見つけて解決しようとし、それができるのは自分しかいないと確信している。傲慢に見えることもあるだろう。 
 リスクをいとわない。失敗を恐れない。失敗からは常に大切なことを学べると信じているからだ。あるいはとほうもない自信家で、たとえ失敗しても、絶対に立ち直り、次は成功できると思っている。 
 自発的だ。指示を与えられるのも待つのではなく、また納得できない指示を与えられたら無視することもある。自らの主体性にもとづいて行動するが、その主体性自体が並みの強さではない。 
 あらゆる可能性にオープンだ。自由に他社と協力し、アイデアや分析をそれを誰が口にしたかではなく、それ自体の質にもとづいて評価する。(中略) 
 細かい点まで注意が行き届く。集中力を切らさず、どんな細かいことも覚えている。それは勉強し、記憶するからではない。それが自分にとって重要だから、すべてを知り尽くしているのだ。 
 コミュニケーションは得意だ。一対一でも集団の前で話すときも、話がおもしろく、センスがよくてカリスマ性さえ感じさせる。 
 すべてのスマート・クリエイティブがこうした特徴を全部備えているわけではないし、実際そんな人間は数えるほどしかいない。だが全員に共通するのは、ビジネスセンス、専門知識、クリエイティブなエネルギー、自分で手を動かして業務を遂行しようとする姿勢だ。これが基本的要件だ。P.35-37

そして、こういう人間は社会階層、年齢、性別に関係なく、どこにでもいるし、影響力は大きい。
ありがたいことに、スマート・クリエイティブはどこにでもいる。(中略)テクノロジーのもたらすツールを使って価値あることをしたいという、意欲と能力のある、あらゆる世代の志の高い人たちだ。その共通点は努力をいとわず、これまでの常識的方法に疑問を持ち、新しいやり方を試すことに積極的であることだ。スマート・クリエイティブが大きな影響を持ちうるのはこうした理由からだ。
彼らは従来型経営モデルには合わない。彼らが真価を発揮できる環境を整備する必要がある。
スマート・クリエイティブのマネジメントがことさら難しい理由もここにある。とくに従来型の経営モデルは通用しない。というのも、このようなタイプの人間に特定のモノの考え方を押しつけようと してもムダだからだ。特定の考え方を押し付けることができないのであれば、彼らがモノを考える"環境"をマネジメントするしかない。それも毎日喜んで出社したくなるような環境をつくるのだ。P.38

文化

たいていの人が職を探すときに重視するのは、職務や責任、会社の実績、業界、報酬などだ。(中略)だが、スマート・クリエイティブはリストの一番上に文化を持ってくる実力を発揮するには、どんな環境で働くかが重要だとわかっているからだ。P50

また、普通の会社の企業文化は偶発的なものであるが、それを変えるのは難しい。
一度できてしまった企業文化を変えるのは極端に難しい。というのも会社ができると、すぐに選別のプロセスが始まるからだ。会社の事業と価値観が一致する人材は吸い寄せられ、一致しない人は寄ってこない。P.50
だから企業を立ち上げるときに、最初にどんな文化をつくりたいか考え、明確にしておくほうが懸命だ。 P.50
それには、コアチームを構成している思い入れの強い社員に「大切なこと」、「信念」を聞くのがよい。 

社員を窮屈な場所に押し込めよ

人間は本能的に領土を増やそうとする生き物であり、多くの企業は実績や地位とともにオフィスは広く調度品は高級になる。しかし、その文化は有害だ。
スマート・クリエイティブはお互いとの交流のなかで真価を発揮する。(中略)デフォルト状態として、活発な交流が起きている。騒々しく山ほど人のいるオフィスでは、熱気あふれるエネルギーが渦巻いている。P.59

また、集団からの刺激を存分に受けた社員が静かに休める場所、ミニキッチン、小さな会議室、奥鹿野テラスなどもあるべきだ。

戦略

インターネットの世紀を特徴づけるテクノロジーの引き起こした地殻変動によって、私たちが学校や職場で学んだ従来型の「戦略の基本」はもはや通用しなくなった。だから計画は変化するかもしれないが、その根底に一定の基礎的な原理が存在することが大切なのだ。それはこんにちの世の中の仕組みに根差し、計画を修正しながら成功に向かううえで指針となるものでなければならない。計画は流動的だが、基礎は揺るがない。P100
計画が流動的と聞いて、仲間に加わるのをやめる者もいるだろう。たいていの人は不確実性を嫌うからだ。一方、スマート・クリエイティブは「やっているうちにわかるだろう」という考え方を好む。P.100

市場調査ではなく、技術的アイデアに賭けよ

その後に大成功を収めたグーグルのプロダクトも、ほとんどが強力な技術的アイデアにもとづいていた。逆にあまり成功しなかったプロダクトには、それがなかった。P.103
たいていの企業ではプロダクト計画を立てるのはプロダクト・リーダーだが、彼らの立てる計画には最も重要な要素が欠けていることが(きわめて)多い。それは、新たな機能、プロダクト、あるいはプラットフォームの出発点となる技術的アイデアはなにか、である。プロダクトの機能や使い勝手を何倍も高めたりするような、新たな技術の活用法やデザインのことだ。そこから誕生するプロダクトは、競合品と比べて本質的に優れている。その差は歴然としていて、マーケティングの努力などしなくても、消費者はすぐにそのプロダクトがほかのどのプロダクトとも違うことに気づく。P104
その代わりに、従来型のMBA的な発想にもとづき、自分たちの一番の得意を考え(マイケル・ポーターの言う「競争優位」)、それを活かしてまわりの市場にも手を広げようとする手法は、市場セハの拡大が成功の指標となる既存プレイヤーには有効だが、新たにベンチャーを興すときには役に立たない。競争優位を生かし、まわりの市場を攻略することだけを目標とする戦略では、業界に破壊的変化をもたらしたり、事業を大きく変えたりすることは不可能だ。最高のスマートクリエイティブを集めることもできないだろう。P.105
大切なのは顧客の要望に応えることより、顧客が思いつかないような、あるいは解決できないと思っていた問題へのソリューションを提供することだ。 プロダクトの地道な改良を続けること、巧妙な戦術を駆使するのは何も悪いことではないが、市場調査を技術的イノベーションより重視するのは本末転倒だ。P.107

組み合せ型イノベーションの時代

無限のコンピューティング能力、公開API、気候や経済取引、誰と誰が友達かのデータが手に入る。かつて歯車の発明での機会装置を用いた製造業、その後のガソリンエンジンの発明による自動車や航空機、1950年代からの集積回路の発明による無数のアプリケーションで起こったように、相互補完的にそれらを組み合わせろと言う。
技術的アイデアを生み出す一つの方法は、新たに入手できるようになった技術やデータを活用し、自らの業界にすでに存在する問題に対する新たな解決策を見いだすことだ。P.110
また、炭鉱から水を汲み出す手段として生まれた蒸気機関、マルコーニの売りだした船と陸との通信手段としてのラジオ、ベル研究所が特許すら取得しなかった1960年代に発明したレーザー、科学者の研究共有のために生まれたインターネットなどを例に、
技術的アイデアを見つけるもう一つの方法は、小さな問題の解決策に注目し、その適用範囲を広げる方法を考えることだ。P.110
と言う。

成長を最優先せよ

昔と違い、今では人員や支店網は要らず、コンピューティングや人材などは容易にてにはいり、成長は猛烈なスピードでグローバルに行われる。
スケール化は戦略的土台の中核をなす要素だ。こんにち、競争は一段と激しくなり、競争優位は長続きしない。だから「速く、大きくなる」ための戦略が必要なのだ。P.114
また、固定電話、フェイスブック、アンドロイド、アマゾンを例示しながら、プラットフォームについて言及する。
ここにおいて非常に重要なのが「エコシステム」だ。インターネットの世紀に大きな成功をつかむリーダーとは、プラットフォームを生み出し、一気に成長させる方法を知っている人物だ。プラットフォームとは、ユーザやプロバイダの集団を一つにまとめ、多面的市場をつくりだすようなプロダクト群やサービス軍だ。P,115

特化する

ユーザー重視のため、検索結果に気に入らないときのため、検索結果のページの一番下にはヤフーへのリンクがあったというのもおもしろいP122

ライバルに追随するな

ライバルの動向を気にし過ぎると、リスクに敏感になり、大きな行動がとれなくなってしまう。きょうそうあいてがいることは企業を強くして緊張感を与えてくれるが、追随してはいけないと言う。
ようやく他社から目をそらしたかと思えば、今度はリスクをとることに慎重になり、インパクトの小さい漸次的変化しか起こさない。P.132
あなたとライバルが市場シェアの数パーセントをめぐって争っている間に、そんなものはまったく気にしないほかの誰かが出てきて、新しいプラットフォームをつくり、市場を一変させてしまうだろう。P.132

人材

グーグルでは「採用」を最も重要だと考えている。。
組織内での地位が上がるほど、幹部は採用プロセスから遠ざかる傾向があるが、本来はその逆であるべきだ。P.139
部下のフィードバックを見て幹部が合格者を選ぶ、ヒエラルキー型の採用では、
つまりたったひとりのマネジャーの判断が、社内の幅広いチームに影響を及ぼす。P.141 
経営者 (そして経営本の筆者) は「自分より優秀な人材を採用すべきだ」とよく言うが、ヒエラルキー型採用プロセスではそうしたことはまず起こらない。P.141 
なぜなら、自分より優秀な人材を採用すると、自身の昇進に響くからだ。

群れ効果

Aクラスの人材は同じAクラスを採用する傾向があるが、BはBだけでなく、CやDまで採用する。だから、妥協をしたり、誤ってBの人材を採用すると、すぐに社内にBのみならずCやDまで入ってくることになる。(P.143)
ただし、採用には絶対に侵してはならない黄金律がある。「採用の質を犠牲にしてまで埋めるべきポストはない」P.177
これがとくに重要なのは、プロダクト部門の人材を採用するときだ。彼らはとてつもないインパクトを生み出す可能性を秘めている。(中略)最強のプロダクト部門を生み出すプロセスを確立できれば、その効果は会社全体に広がっていく。P.144 

ラーニング・アニマルを採用する

ただ、大切なのは優秀な人が「何を知っているか」ではなく、「これから何を学ぶか」だ。P.147

心理学者のキャロル・ドゥエッグの言う「しなやかなマインドセット」を引用しながら、こう続ける。
能力
能力は生まれつき決まっているとかんがえる人は、状況がどれほど変化しようと、ひたすらその能力を誇示しようとする。だが、しなやかなマインドセットの持ち主は、努力すれば自分の持ち味とする能力を変えたり、新たな能力を開花させることができると考える。人は変われる。順応できる。むしろ、変化を強いられると、心地よく感じ、より高い成果をあげられる。(中略)自分の能力は変わらないと考えていると、その自己イメージを維持するために「到達目標」を設定する。一方、しなやかなマインドセットの持ち主は「学習目標」を設定する。学ぶこと自体が目標になると、くだらない質問をしたり、答えを間違えたりしたら自分がバカに見えるのではないかなどと悩んだりせず、リスクをとるようになる。ラーニング・アニマルが目先の失敗にこだわらないのは、長い目でみればそのほうが多くを学び、さらなる高みに上れることを知っているからだ。P.148 
知力より専門能力をを重視するのは、明らかな間違いだ。とくにハイテク業界ではそう言い切れる。あらゆる業界では急速な変化が起きており、いまあなたが採用しようとしているポストに求められる役割もすぐに変わるはずだ。(中略)優秀なゼネラリストには偏りがなく、多様なソリューションを見比べて最も有効なものを選択することができる。P.148 

LAXテスト 

もう一つ重要な要素が人格だ。単に親切で信頼感があるというだけでなく、多才で、世界と深く関わっている人間、つまり「おもしろい」人間だ。P.150
同僚と一緒に、ロサンゼルス国際空港(LAX)で六時間足止めを食ったとしよう(括弧内省略)。その同僚と楽しく会話をしながら過ごせるだろうか。有意義な時間になるだろうか。それとも退屈案相手とんお会話を避けようと、さっさと機内の持ち込み荷物を開けてタブレットを取り出し、メールなどのチェックを始めるだろうか(括弧内省略) 。P.152

斬新な発想は多様性から生まれる

なぜなら「いい人ばかり」の職場は均質的な事が多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、きわめて効果的な策略だ。P.153 
バックグラウンドの異なる人々は世界を違う目で見る。(中略)――こうした視点の違いは、まったく新しい発想を生む。多様な人材が同じ職場で働くことで生まれる幅広い視点には、はかり知れない価値がある。P.153 
すばらしい才能の持ち主の外見や行動は、あなたとは違っていることも多い。だから誰かを面接するときには、自分の先入観を自覚し、目の前の相手がすばらしい成功をつかむための情熱と知性と人格を持っているかだけに意識を集中しよう。P.154

面接のスキルは最も重要

面接の目的は、応募者とあたりさわりのない会話をすることではなく、相手の限界を確かめることだ。(中略)最高の面接は、友人同士のち的な会話のようなものだ。P.163
応募者のバックグラウンドについて聞くときには、単なる過去の経験談ではなく、「そこから何を学んだか」を説明させよう。P.164
また、危機的状況を自力でこなす人より、周囲の力を借りる人の方がよい。前者は同僚に対して不満を抱きやすいが、後者はすばらしい人材を連れてくる。
さらに、ウェブにアップしたパーティの酔っ払った姿は、重大な人格的欠陥でなければ、むしろ情熱的で、デジタルメディア が好きだという重要な資質だ。
良い質問をする人は、好奇心が旺盛で、頭がよく、柔軟でおもしろく、自分がすべえての答えを知っているわけではないことをわかっている。まさしく、あなたが求めているスマート・クリエイティブの条件だ。P.166

意見をまとめる

グーグルでは候補者の評価を四つのカテゴリーに分解し、すべての部門で共有している。(中略)スマートクリエイティブは四つのカテゴリーすべてで高い評価を受ける。P.170
  • リーダーシップ -正式なリーダーでなくてもチームの成功に貢献した実績
  • 職務に関する知識 - 幅広い強みや情熱、役割を成功させる経験や経歴
  • 全般的な認知能力 - 学業成績より、モノの考え方、問題解決の仕方
  • グーグラーらしさ - 曖昧さへの許容度、行動重視の姿勢、協力的な性向

縁故採用(あるいは昇進)は許さない

マネジャーに採用を任せると、失敗する。それは、人員配置が頻繁に変わるので、候補者が自分のもとをいつか去るからだ。また、個々の社員には誰のもとで働くかより、誰と働くかが大事なので、採用をマネジャーに任せるより、採用委員会で決定するのがよい。そこで、ダイバーシティと効率性のあるある四、五人の採用委員会がよい。マネジャーには採用の決定権はないが、拒否権はある。また、スマートクリエイティブはNoを言うのが苦手だが、委員会は顔無しなのでNoを言いやすい。

破格の報酬

従来の企業では、経営トップに近いCEOや取引に近い営業の報酬が大きいが、インターネットの世紀で重要なのは、プロダクトの優位性だ。だから当然、最も手厚い報酬を受け取るべきは、最高のプロダクトやイノベーションの近くにいる人々だ。つまり画期的なプロダクトや機能の開発に貢献した人材には、たとえ駆け出しの平社員であっても莫大な見返りで報いる必要がある。職位や入社年次にかかわらず、ずばぬけた人材にはずばぬけた報酬を払おう。重要なのは、どれだけのインパクトを生み出すかだ。P179

有能なスマートクリエイティブは新たな挑戦のため退社しようとする

彼らを引き止めないと行けない。

これほどの手間をかけ、最高のスマートクリエイティブを獲得するための採用プロセスを整えたら、彼らはどんなふうに報いてくれるだろう?そう、退社するのである!P.180
そのため、優秀なスマートクリエイティブを会社に引き止めるために、彼らが新たな挑戦をできるよう促す。異動させたり、例外的にポストを新たに作ることもある。
退社したいと言われても、懸命に引き留めようと思わない社員はいるだろうか。もし辞めてもいいと思う社員がいるなら、おそらく辞めさせたほうがいいだろう。P186
「できないヤツはクビにすればいい」と言うのは、採用プロセスの適正化に十分な時間をかけない言い訳に過ぎない。P186

グーグルの「採用のおきて」

  •  自分より優秀で博識な人物を採用せよ。
  • 往路ダクトと企業文化に付加価値をもたらしそうな人物を採用せよ。
  • 仕事を成し遂げる人物を採用せよ。
  • 熱意があり、自発的で、情熱的な人物を採用せよ。
  • 周囲に刺激を安毛、協力できる人物を採用せよ。
  • チームや会社とともに成長しそうな人物を採用せよ。
  • 多才で、ユニークな興味や才能を持っている人物を採用せよ。
  • 倫理観があり、率直に意思を伝える人物を採用せよ。
  • 最高の候補者を見つけた場合にのみ採用せよ。一切の妥協は許されない。

キャリアについて

一番大切なのは、正しい業界を選ぶことだ。189
五年後の自分にとっての理想の仕事。どこで何をしていくら稼ぐか。転職サイトに載せるならどんな説明か。そして、五年後の自分の経歴書はどんな内容か。
自分の強みと弱みを評価。そこにたどりつくために、どんなスキルを磨くべきか。この作業には他の人からのインプットが必要だ。最後に、どんな実務経験やトレーニングが必要か
理想の仕事はいまの仕事だという結論に達したなら、それはあなたの野心が小さすぎるということだ。もう一度エクササイズをやり直し、安易に手に入るようなものではなくら少し背伸びした目標を考えてみよう。P193
インターネットの世紀で最高に魅力的な仕事には、必ず統計学が必要になる。P.194
エレベーターピッチも準備しないといけない。今、自分が取り組んでいる仕事、根底の技術的アイデア、会社全体の事業での役割を30秒間で自身を持って話せるべきだ。休職中の人も、経歴書のおもしろい部分を抽出して、自分がどんな仕事をしたいか、どのようなインパクトを生み出せるかを語ろう。

また、海外に出た方がいい。個人は地域に縛られがちだが、企業は規模や業務内容によらずグローバルだ。どこか別の場所で生活し、働き、国際的任務に志願したり、それができなければ旅をしよう。そして、自分のグローバルな仕事が対象とする顧客の目で見てみるのだ。

情熱と仕事を結びつけることも大事だ。
仕事に「惚れ込んで」おらず、単に「好き」というぐらいでは、能力を最大限発揮し、成功をつかむことはできないだろう。P.197
すべての人は、自分の情熱がわからないし、わかっていても手が届かない(木彫の人形を作りたくても、妻は安定した要望だったり、世界の要望はエンジニアかもしれない)。
自分が情熱を持てるものを見つけるのは、必ずしも簡単ではない。社会に出る時点では、情熱どうこうより、単に仕事があるだけで満足かもしれない。そしてキャリアを積んでいくうちに、そこが思っていたような刺激的な舞台ではないことに気づくのだ。おそらく、情熱と満足のいく仕事の、どちらも見つけられずに。P.198
「生まれ変わったら就きたい仕事」に近く、それでいて現在のキャリアパスからでも手の届く「五年後の理想の仕事」を考え、ゴールに設定してみよう。P.198

意思決定 

データに基づいて決定する

アメリカノ19世紀、プラグマティズムの哲学者、ジョン・デューイの「問題をきちんと述べられれば、半分解けたようなものだ」という引用を添え、データがなければ意思決定できないと考える
だからグーグルのプロジェクターが二台ある。一つは他のオフィスとのビデオ会議や会議の記録を映すためのもの。もう一つはデータ用である。P.210
だから、「私が思うに……」と言うことはなく、まずデータを見せながら「ちょっとこれを見てください」と言うのだ。そして、データは多い方がいいのだ。混乱するかもしれないが、それを上回る利点がある。

"ボブルヘッド"の「イエス」には要注意

最適解に到達するには、意見の対立が不可欠だ。オープンな雰囲気の下、出席者が自分の意見や反対意見を述べなければならない。なぜなrすべての選択肢を率直に議論しなければ、全員が納得し、結論を支持することはあり得ないからだ。納得していない者はボブルヘッド人形のようにうなずいておきながら、部屋を出たとたんに自分の好きなように行動する。だから真のコンセンサスに到達するには、反対意見が必要だ。P.213
bobblehead(ボブルヘッド人形)

意思決定者の最も重要な枠割は、期限を設定し、プロセスを取り仕切り、最後には期限を確実に守ることだ。P216

チャイムを鳴らすタイミングを見極める

プロダクトの大量のデータを再三再四集めても、確実な判断を下す決定的要因に欠けると聞いたビル・キャンベルが、「間違っててもいいから、とにかく"何か"行動しろ」と言った具体例を交えて、行動志向(トム・ピーターズ『エクセレント・カンパニー』より)が大事だと言う。
行動志向は、実践的で試行錯誤をいとわない考え方である。ある行動をとることが正しいか確信が持てないなら、一番いいのは実際にやってみて、結果に応じて軌道修正することだ。ある行動をとることが正しいか確信が持てないなら、一番いいのは実際にやってみて、結果に応じて軌道修正することだ。P.217
ただ行動志向を有害と見る行動経済学者もいる。たとえば交渉の場ではPIA (Patience, Information, Alternatives)が最高の結果につながると言うのだ。特に、特定の行動を洗濯するのは、できるだけ遅らせる忍耐を持つのが大事だと言う。

毎日会議を開く

会議の予定をこれほど頻繁に入れると、問題の重要性が全員に伝わる。それともう一つ、わかりやすいメリットもある。毎日会議をしていると、前回の内容をまだ全員が覚えているため、同じ議論をやり直す時間が少なくなることだ。P222

どちらも正しい

技術者や科学者がデータと分析に基づき主張すれば相手を説得できると思うのは間違いであり、大事なのは相手の心を納得させることだと言う。そして、それはアリストテレスのロゴス、エトス、パトスに根付いていると言う。
相手の行動を変えたいなら、説得力のある主張をするだけでなく、相手の♡に触れなければならない。P.224
誰でも自分の意見に反する決定新を心から受け入れるには、まず自分の意見がきちんと聞いてもらえるだけでなく、その意義を認めてもらえたと感じる必要がある。(中略)誰の意見にも一面の心理があるP.224

法律問題には"カウボーイ・ルール"で

法律家や弁護士は、1%でもリスクがあると回避しようとするし、世の中のプロダクトや使用ルールには、責任を逃れるための、役にも立たない法的な但し書きで溢れている。しかし、そういったリスク回避を最優先にするのはよくない。
法律問題に対して過去を振り返りながらリスク回避を最優先に取り組むという姿勢は、インターネットの世紀には通用しない。企業の進化が法律の変化をはるかに上回るスピードで進むからだ。

収益の八割を稼ぐ事業に八割の時間をかけよ。

後継者育成。数年後ではなく十年後に事業継承できる息子世代。ポテンシャルある100人を囲い込む。成功した場合のメリットのほうが失敗した場合のツケよりはるかに大きい。自分の若かりし頃を思い出せ。P232

コミュニケーション

情報は公開するべきだ。
二一世紀の企業においてカギを握るのは、スマートクリエイティブを吸い寄せ、すばらしい仕事をさせることだが、彼らに十分な情報を与えないかぎり、それは不可能だ。P239

会話のきっかけをつくる

会話はいまでも最も重要かつ効果的なコミュニケーション手段である。しかし技術の進歩や仕事の忙しさによって、会話のチャンスは減っている。(中略)あなた自身、目と鼻の先に座っている同僚と会話する代わりに、メールやチャットやテキストメッセージで済ませた経験がないだろうか。(中略)組織の右も左もわからない人間にとって、会話を始めるのは難しい。とくに大企業の、新参者にとってこれは切実な問題だ。リーダーの方から手を差し伸べる必要がある。(P.249)

お祈りをいくら繰り返してもご利益は減らない

みんな忙しくてあなたの話を聞いてないから、二十回は繰り返して言おう、とのこと。
仕事に限った話しではないが、何かを人に伝えたいと思ったら、たいてい二〇回は繰り返す必要がある。数回言うだけでは、みんな忙しすぎて、おそらく気づかないだろう。(中略)だからリーダーは常に"コミュニケーション過剰"であるべきだ。(P.251)

誤ったコミュニケーションと正しいコミュニケーション(P.252)

  1. 重用なテーマをはっきりさせる。
  2. 聞き手の注意を引くには提示方法を変える
  3. おもしろい記事は重用なポイントを抽出し、意見を求める。
  4. あなたの名前で発信するなら、あなた自信の考えをきちんと入れよう
  5. その情報を有益だと感じる相手を適切に選ぶ
  6. 人によって情報収集のやり方は違うのであらゆるコミュニケーションツール (メール、SNS、ポスター、会議など)を活用。
  7. 正直かつ謙虚。失敗すらも話す。
補足する。3について、好奇心の広さを説いている。
経営陣には、たいてい好奇心が足りない。目の前の仕事をこなすことだけに集中し、コミュニケーションもなるべくビジネスライクに済ませようとする。だが、スマートクリエイティブというのは興味の幅が広い。だからあなたが伝えようとしてきた重用なテーマとかかわりがあり、示唆に富む、興味深い記事を見つけたら、シェアしよう。(中略)みんなも好奇心を持ちたいのだ。P253)

4については、次のように続く。
文章のうまい人に表現を直してもらうのは構わないが、内容はあなた自身の考え、アイデア、経験でなければならない。一〇〇%本物に近いほどいい。 (P.254)

自分を見つめなおす

エリックが大切にしているルールの人ルは、経営者の黄金率と言ってもいいだろう。「自分の下で働きたいと思うような上司であれ。」(中略)少なくとも年一回、自分自身の仕事ぶりを振り返って書き出し、読み返し、自分なら自分の下で働くか考えてみるのだ。それから実際に自分の下で働いているスタッフと共有しよう。

メールの心得 

  1. すぐ返信する
  2. 短くする
  3. メールの受信トレイは常にきれいに
  4. メールは後入れ先出し。旧い案件は他の誰かが処理してる。
  5. 他の人も有益と感じる情報は転送する
  6. BCCは非生産的で透明性の高い企業文化を蝕むリスクがある
  7. メールで相手を叱り飛ばさない
  8. 仕事をフォローアップしやすい。進捗してない案件の最初のメール冒頭に「これ、終わった?」をつけて再送
  9. 検索しやすいように工夫
補足
1について
私たちが知っているなかでもとびきり優秀で、しかもとびきり忙しい人は、たいていメールへの反応が早い。私達などごく一部の相手に限らず、誰に対してもそうなのだ。メールにすばやく返信すると、コミュニケーションの好循環が生まれる。チームや同僚が、重用な議論や意思決定のメンバーにあなたを加えるようになる。また誰に対しても同じようにすばやく反応すれば、フラットで能力主義的な企業文化の構築を助長することができる。返信は短くてもいい。私たちがよく使うのは「了解」だ。 (中略)普通の人が返信しないのはもっと悪い意味が込められている。たいていは「忙しすぎて、いつ返信できるか、そもそも返信できるかわからない。返事がほしければ、そのまま待っていてくれ。ついでに、あんたのことは嫌いだ」という意味だ。(P.260) 

2について
下書きを書いたら読み返し、不要な言葉をすべて消していこう。(中略)たいていのメールには、読み飛ばせる部分が山ほどある。(P.260)

3について
メールを開封したら、「読む必要がない」、「読んですぐ返信」、「あとで読む」を即座に決めて実行。そうしないと後で読み返すことになり、まったくの時間の無駄。受信箱のメールは5つ以下にしておかないと、優先順位を決めるのにムダな時間を取られることになる。
9について
あとで読み返すかもしれないメールを受け取ったら、懸命に内容を説明するキーワードをつけて自分に転送しておこう。未来の自分はどうやってこのメールを検索するだろう、と考えてみるのだ。あとで検索するときには、きっと同じ検索語を使うだろう。 

パートナー企業

二つの企業が一部の分野で競合しつつ、別の分野では協力関係にある、といった興味深い状況が出てくる(「コーペティション(協力+競争)」「フレネミー(友人+敵)」といった造語もある)。(P.268)
国家にもビジネスパートナーにも、それぞれ信念体系があり、その違いは歴然としている。パートナーシップを成功させる重用な第一歩は、こうした違いを認め、それを受け入れることだ。 (P.268)
パートナーシップが外交のようなものならば、外交官に任せるべきだと考えるのが合理的だ。とくに、重用なパートナーシップについては、双方の利益のために活動する専門の担当者を置くべきだ。外部のパートナーを満足させつつ、自社の利益最大化を目指すのである。(P.269)
外交の世界では、これは「二層ゲーム理論」と呼ばれる。 (P.269)

取材対応 ――メッセージを送るより対話しよう

有意義なインタビューとは、ブランドのマーケティング・メッセージを反復するものではなく、知的な会話であるべきだとかんがえているからだ。(P.170)
むしろ批判されないのは、 質の高い対話をしなかった証拠だと考えよう。(中略)グーグルの広報責任者、エレン・ウェストは、部下にいつもこう発破をかけている。「思想がなければ、思想的リーダーになれない。」

ヒエラルキーより人間関係 

正しい組織図の正しいコマを見れば、話すべき相手の名前が書いてある。しかし、インターネットの性器で成功するベンチャー企業の定常状態はカオスである。何もかもがスムーズに動いており、組織図のコマtお人間が一対一の対応関係に収まっているという状況は、業務プロセスやインフラが事業に追いついてしまったことを意味する。これは悪いサインだ。(P.271)
事業は常に業務プロセスを上回るスピードで進化しなければならない。だからカオスこそが理想の状態だ。そしてカオスのなかで必要な業務を成し遂げる唯一の手段は、人間関係だ。(P.271)
エリックは「三週間ルール」が有効」だと考えている。新しい職務に就いたら、最初の三週間は何も仕事をしあにのだ。ひたすら部下の話を聞き、彼らの抱える問題や優先事項を理解し、人となりを知り、信頼を勝ち得るのだ。つまり、実際には何もしないどころか、健全な人間関係を構築するという大切な仕事をしているのだ。
そして、周囲を笑顔にすることも忘れずに。(中略)褒め言葉をかけるタイミングがあれば、気前よくいこう。(P.271)

イノベーション

グーグルの検索エンジンは毎年、五〇〇の改良の力が組み合わさっtあ結果、劇的な進化を遂げている。(中略)このように、イノベーションを包括的に定義すること、すなわち"それ自体でとびきり斬新で画期的なモノ"だけがイノベーションではないという考え方はとても大切だ。イノベーションは本社から独立した少数精鋭の専門部署だけの専売特許ではなく、誰にでもチャンスはあるという考え方につながるからだ。P281

自らを取り巻く環境を理解する

グーグルは新しいプロジェクトんい取り組むかどうかを決める時、ベン図を使う。まず、それが対象としているのは、数百万人、数十億人に影響を及ぼすような大きな問題あるいはチャンスだろうか。第二に、すでに市場に存在するものとは根本的に異なる解決策のアイデアはあるのか。グーグルは既存のやり方を改善するのではなく、まったく新しい解決策を生み出したいと考えている。そして第三に、根本的に異なる解決策を世に送り出すための画期的な技術は(完全な姿ではなく、部分的なかたちでもすでに存在しているのか、あるいは実現可能なのか。P282
イノベーションが生まれるには、イノベーションにふさわしい環境が必要だ。イノベーションにふさわしい環境とは、たいてい急速に成長しており、たくさんの競合企業がひしめく市場だ。(中略)まったく新しい、ライバルのいない"未開の地"を夢見る起業家は多い。だが、からっぽな市場にはたいていそれなりの理由がある。起業の成長を維持するだけの規模がないのだ。(P.283)
もう一つ、検討すべき要素は技術だ。その分野の技術は、どのように進化していくと思うか。。現在との違いはなにか、そして他にはどんな違いが生まれるだろうか。その進化する環境のなかで、持続的に他社との明確な違いを出していくための人材はそろっているだろうか。(P.283) 

CEOはCIOであれ


ただ、イノベ―ションは伝統的なMBA流の経営戦術とはどうしても相容れない。事業に関する大方の事柄とは異なり、誰かに責任を持たせたり、支持したり、予定を組んだりすることができない。(中略)つまり、イノベーションは自然発生的なのだ。(中略)その課程で、強力なアイデアほど信奉者を集め、勢いをつける一方、弱いアイデアは道端に打ち捨てられていく。(中略)アイデアの自然淘汰とかんがえるとわかりやすい。(P.286)
イノベーティブであろうとする企業、つまりすべての企業は、まず想像に必要な多様な要素が自由自在に、これまでにないおもしろいかたちで衝突し合うような環境、つまり原子スープを生み出そう。(P.286)
 デレクシヴァーズの裸踊りの例(を出して、イノベーターにやりたいようにやらせることと、そこに加わりたいと思う人々の背中を押すことは同じぐらい重要だと言う。
ただ、それと同じぐらい重用なこととして、イノベーティブな取り組みに加わりたいという人々(踊りに加わるふたり目から二〇〇人目)の背中を押すためのものである。(中略)位のべ~してィブな活動を特定のグループに隔離すると、そこにはイノベーターは集まるかもしれないが、最初のフォロワーが十分確保できなくなる。(P.288)

グーグル・インスタントは売上を伸ばすという根拠もデータもなかったが、ユーザーにとって素晴らしい機能だという判断から導入され、実際に売上の増加は軽微だった。また、「パンダ」という検索アルゴリズムの改良によって質の低いサイトへの誘導を減らしたところ、グーグルの売上が減ることすらもあった。しかし、それらの判断は正しかったと言う。
インターネットの世紀において、ユーザの信頼は、ドル、ユーロ、ポンド、円といった通貨と同じ価値があるとグーグルは考えている。P291
グーグル・アースのもとになったキーノートがグーグルの収益にどう影響するかなど、セルゲイもジョナサンも全く考えていなかったし、見当もつかなかった。キーホールの取締役に意味不明な返答をしていた。しかし、グーグル・アースは大人気で、それにツールバーを添えたところ、グーグルで検索する人が増え、収益は増加した。
取締役会で突然の指名を受けたある日、ジョナサンにそれを見通すことは不可能だった。いまから思うと「まったく見当がつきません……でも、収益化の方法はきっと見つかると思います」と答えるのが正解だったのだろう。P.294
ユーザに焦点絞れば、利益は後からついてくる。(中略)グーグルで「ユーザ」といえば、私たちのプロダクトを使う人々を指す。一方「顧客」とはグーグルの広告枠を買ってくれたり、技術のライセンス契約を結んでくれる企業だ。両者の利益が対立することはめったにないが、対立が起きた場合、グーグルは常にユーザの側に立つ。業界を問わず、どんな企業もそうするべきだ。ユーザはかつてないほどの力を手にしており、質の低いプロダクトにはそっぽを向くからである。P.294 

発想は大きく

発想を大きくすることで、基礎科学のようにゼロから作り出す自由が生まれ(例えば、リッター200km走る自動車を作るなら)、会社の存続に影響しない凡庸なプロダクトを作ることをやめ、優秀な才能を惹き付ける
イノベーションは私たちが「パスツールの象限」で活動しているとき、すなわち「現実世界の問題を解決するために基礎科学を進歩させようとしている状況」で起きやすいという。P.296
発想を大きくする明らかなメリットは、それによってスマート・クリエイティブがそれまでよりはるかに自由になることだ。P297
発想を大きくすることにはもう一つ、あまり知られていないメリットがある。大きな賭けをするほど、成功のチャンスが大きくなるのだ。会社として失敗が許されなくなるためである。反対に、どれも命取りにはならないような小さな賭けをたくさんすると、凡庸なモノしか生まれない。P297 
大きな問題のほうが、取り組みやすいという見方もできる。なぜなら、大きな挑戦は、おおきな才能を持つ人材を惹きつけるからだ。P298
大きな発想は、採用やつなぎとめに非常に有効なだけでなく、組織全体に伝染するのだ。

70対20対10のルール

マネジャーは「ノー」と言うことでリスクを回避し、成功する可能性が高いプロジェクトのためにリソースを温存しておくことができる。そんなバカげたプロジェクトのために貴重なスマート・クリエイティブを割り当てるべきだろうか?
リソースの七○%をコアビジネスに、二○%を成長プロダクトに、一○%を新規プロジェクトに充てるのである。P.305
一○%という配分が適切なのは、もう一つ理由がある。クリエイティビティは制約を好むのだ。(中略)リソースの不足は創意工夫で補うしかない。 

20%ルール

エンジニアが仕事時間の二○%を好きなプロジェクトに使うのを認める精度である。ここから「グーグル・ナウ」「グーグル・ニュース」「グーグル・マップ」の交通情報など、数々のすばらしいプロダクトが生まれた。

ここで重用なのは時間ではなく、自由だ。(中略)実際には夜や週末を使って「ニ○%ルール」のプロジェクトをする社員も多いので、「一二○%ルール」のプロジェクトといったほうが妥当かもしれない。

未来に向けて何をすべきか、会社についてあなたは気づいているのに、他の人々が気づいていないこと、あるいはわざと無視していることは何かP342
サンの成功と収益力の大部分を支えてきた競争優位がなくなったら、会社はどうするのか。エリックがこの質問をオーウェン・ブラウン会長とスコット・マクネリーCEOに投げかけたところ、ふたりの出した答えは、サンがPC業界と競争するほどコストを下げることは不可能だ、というものだった。要するに、良い答えはなかったのだ(エリックにもなかった)。それ自体がもちろん困ったことだが、さらに問題だったのは、その後の展開である。そう、何もしなかったのだ。誰も本質的な対応策を考えようとはしなかったのだ。P342

世に出してから手直しをする

新しいアイデアが初めから完璧であることはあり得ないし、完璧になるまで待っている時間はない。プロダクトをつくり、出荷し、市場の反応を見てから、改善策を考え実践し、再び出荷しよう。「世に出してから手直しする」。勝つのはこのプロセスを最も速く繰り返すことのできる企業だ。P.320

だから「世に送り出してから手直しする」モデルにおける経営陣の役割は、これまでの投資額にかかわらず勝者を支援し、敗者への支援を打ち切ることだ。質が向上し 、成長に弾みがついたプロダクトには報酬としてより多くのリソースを割り当てる一方、停滞したプロダクトにはそれをしないことだ。(中略)データを使うことで"埋没費用のまやかし"に陥らずに済む。P.322
誤解のないように言っておくと、「世に出してから手直しする」アプローチはあとで改善することを前提に、質の低いプロダクトを送り出してもいいという考え方ではない。(中略)プロダクトは提供する機能において最高のパフォーマンスを実現しなければならないが、当初の機能は限定的でも構わない。P.344 

良い失敗 

たしかにウェーブはとんでもない大失敗だった。とはいえ、ムダな時間はかかっていない。失敗が明らかになってから追加投資をしなかったからだ。また失敗によって敗者の烙印を押された社員はいなかった。ウェーブ・チームのメンバーはひとりも解雇されず、むしろプロジェクトの打ち切り語、社内でひっぱりだこになった。限界に挑戦するようなプロジェクトに取り組んだからにほかならない。またウェーブは失敗する課程で、たくさんの貴重な技術を生み出した。ウェーブのプラットフォームの技術はグーグル。プラスやGメールに取り入れられている。失敗ではあったが、ウェーブは”良い失敗”だったのだ。P.326
ラリーが言うように、とびきり大きな発想をしていれば、完全な失敗に終わることはまずない。たいてい何かしら貴重なものが残るはずだ。P.327
そして失敗したチームを非難してはいけない。メンバーが社内で良い仕事に就けるようにしよう。他のイノベーターも、彼らが制裁を受けるかどうか注目している。失敗を祝福する必要はないが、ある種の名誉の印と言っていいだろう。少なくとも挑戦したのだから。P.327 
経営者の仕事は、リスクを最低限に抑えたり、失敗を防いだりすることではない。リスクをとり、避けられない失敗に耐えられるだけの強靭な組織をつくることだ。著者がベストセラーになったナシム・タレブ教授は「抗脆弱性 」を持つシステムをつくれと説く。失敗や外的ショックに耐えられるだけでなく、それを糧にさらに強くなるようなシステムだ。
つまり失敗はすばやく、ただし時間軸はとびきり長く、ということだ。P.327 
優れたアイデアは莫大な収益をもたらすかもしれないが、時間がかかる。五、七年もかかるかもしれない。手直しを早くし、成功に近づいているかどうか判断する規準を作ることだ。小さな失敗は許容しようということだ。

想像を超えるものを想像する 

 一番嫌な質問をする

事業を営んでいる企業には必ず「聞かれて嫌な質問」があるが、聞かれないままのケースも多い。良い答えがなく、誰もが不安になるからだ。しかし、だからこそこうした質問に意味があるのだ。みんなを安穏とさせないためである。ライバルが本気で潰しにかかってくる前に、仲間内からの問いかけで不安になったほうがいい。P343 
企業が潰れるのは、たいてい自分たちがやってきたことにあぐらをかき、漸進的変化しか生み出さないためだ。P343
何が起きるかを考えるのは予測であり、こんにちのような急速に変化する世界では意味がない。何が起こり得るかという問いは、想像力をかきたてる。常識の枠内では想像もできなくて、想像しようと思えば本当はできることは何か?P344
一番早く変わるものはなにか、まったく変わらないものはなにか。未来がどうなりそうか考えがまとまったら、次に挙げるさらに難しい質問を考えてみよう。(中略)従業員はどれだけの自由を手にしているだろう。本当にイノベーティブな人材は、職位の高さにかぎらず、自分のアイデアを追求するう自由を与えられているだろうか。情報を囲い込もうとする人と、ルータのような働きをする人では、社内でどちらが成功しているだろうか。(中略)あなたの会社は、とびきり優秀なスマート。クリエイティブを集めるのに適した場所にあるだろうか。P344

大きな問題は情報の問題である

私たちはテクノロジー楽観主義者だ。テクノロジーには世界をもっと良い場所にする力があると支持ている。(中略)私たちは大きな問題というのは、たいてい情報の問題であると見ている。つまり十分なデータとそれを処理する能力さえあれば、こんにち人類が直面するたいていの難題の解決策は見つかると考えているのだ。P.330
 私たちが将来を楽観するのには、確固たる証拠がある。第一は、データの爆発的増加と情報フローの自由化というトレンドだ。P.351

将来を楽観するもう一つの要因が、スピードだ。テクノロジーのおかげで行為と反応との間の「レイテンシー」はどんどん短くなっている。P.352

参考文献


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