自由学園明日館 見学

2015年7月8日
一ヶ月以上前ですが、池袋から徒歩5分ほどにあり、フランク・ロイド・ライトの建築による、重要文化財、自由学園明日館 (じゆうがくえんみょうにちかん) を見学しました。テレビ番組「美の巨人」たちで知って以来、来てみたかったところでした。



上の写真は、Google Photosが自動的に画像加工してくれたもののようです。






 いいのかいけないのかわかりませんが、YouTubeに「美の巨人たち」放送回もありました。

 明日館の方が見学のツアーも行ってくれました。見学受付の時間は過ぎていたのですが、見学申し込みがなかったそうです。明日館についての学識がとても豊かで、本当にこちらの建物が好きなのだという気持ちが伝わりました。明日館の歴史や改築工事、ライトの来歴、建築資材の調達経緯など、まるで本をひっくり返したような知識でした。私も解説の方もゆったりとしていたので、たっぷり1時間以上使いました。すてきなガイドツアーでした。

 自由学園明日館の歴史は簡単には次のようなものです。明日館の公式HPから引用しました。
自由学園明日館(みょうにちかん)は、1921年(大正10)、羽仁吉一、もと子夫妻が創立した自由学園の校舎として、アメリカが生んだ巨匠フランク・ロイド・ライトの設計により建設されました。
 明日館建設にあたり羽仁夫妻にライトを推薦したのは遠藤新。帝国ホテル設計のため来日していたライトの助手を勤めていた遠藤は、友人でもある羽仁夫妻をライトに引きあわせました。夫妻の目指す教育理念に共鳴したライトは、「簡素な外形のなかにすぐれた思いを充たしめたい」という夫妻の希いを基調とし、自由学園を設計しました。
ガイドツアーの方によれば、当時、どこの女学校も紋切り型の型にはまった教育を行っていたそうです。羽仁吉一、もと子夫妻は、そういった学校に自分の娘を進学させたくなく、自由闊達に伸び伸びとした学校を欲していました。そこで、自由学園を創立することになったそうです。今でも、自由学園の校風を調べてみると、自分で机や椅子を作ったり、植物を栽培したりと、他の学校では見られない取り組みが拝見できます。こういった学校には、偏差値のような杓子定規な尺度は当てはまらないのでしょう。

 フランク・ロイド・ライトは近代建築の三大巨匠と言われている人です。1867年から1959年を生きました。彼の作品では、カウフマン邸 (落水荘) が最も有名でしょう。ライトは前時代を超えようと苦心していたらしく (ツアーガイドの方のお話です)、故郷のウィスコンシンの大草原からヒントを得た草原様式を確立しました。高さを抑えた横長の建築で、屋根の部分が草原のように平たく広がり、水平線を強調します。そして、部屋同士は完全に区切られることなく、ゆるやかにつながっています。全体が一つの廊下のようです。この自由学園明日館も、プレーリースタイルが取り入れられています。
カウフマン邸


 自由学園明日館を見学していて、特に心惹かれたのは、穴蔵のように天井の低い部屋から、高天井の大広間に歩みを進めたときでした。あの開放感はすばらしい設計でありました。

 また、重要文化財の復興についても学びました。もどかしい気持ちにもなりました。写真下でわかるように、中心には大きなガラス窓があります。もともと大きなガラス窓だったのですが、生徒が窓を開けるのに重すぎるということで、上半分、下半分を裁断され、教会に木材が渡されていました。

 そして、関東大震災や第二次世界大戦、老朽化などで多大な被害をこうむったのですが、復興作業がありました。ほとんど更地にして、当時の材料や技術で復興したそうです。ここからが「もどかしい気持ち」にさせられたのですが、重要文化財の復興では、パーツごとに異なる時代が混ざるとちぐはぐになってしまうので、復元ターゲットとなる年が決められます。それが何年だったのかは忘れたのですが、写真のガラス窓を上下に分割されていた時代に戻されました。それより早い時期だと、たしか、建物の全体が完成していないので、さすがにその時代に戻すことはできないという話だったような気がします (僕の記憶が明瞭ではないです)。ガラス窓が一枚の大きなガラスであった方が美しいとは思うのですが、もどかしいです。

 また、ライトの設計図では、食堂にも大きなガラス窓が予定されていたのですが、今見るとありません。この自由学園は、写真の左端の棟が完成した時点で入学式を行ったのですが、その後も生徒数は増加していきました。ライトは入学式を出ると帰国し、建築は遠藤新にバトンタッチされました。ちなみにまだ建築中であったので、遠藤新は生徒の増加にたえるように、食堂の大きなガラスを犠牲にし、生徒の収容人数を増やしました。これも重要文化財の復興時に、ライトの設計図の通りにすればいいじゃないかとも思ったのですが、先述の理由により、そういうわけにもいかなかったそうです。

 現在では、自由学園明日館は、一般市民講座や結婚式に使われています。

コメント