TEDxCERN 2015 に参加してきました。ワイン141-142本目

2015年10月9日

TEDxCERN に参加してきた。テーマは'Breaking the rules.' TEDは非営利団体で大規模なカンファレンスを運営している。東大でも五月祭でTEDxUTokyoが催されたことがあり、ぼくの友人がボランティアでがんばっていた。Wikipedia情報では、ジェームズ・ワトソン、ビル・クリントンやジミー・ウェールズも講演したことがあるらしい。




Meyrinで参加登録。どうやら、名前ホルダーをもらわないと、入れないらしい。ぼくはメールしていたはずだが、名前がリストに見つからなかったので、名簿に新しく追加してもらった。MeyrinはCERNの拠点であり、ATLAS実験がある。ここから30分ほど送迎バスに乗って会場のあるCMSサイトに向かった。ちなみに、この送迎バスも、講演会の視聴も、食事も無料だった。

このあと、会場(写真上)に着いた。講演中は、スマホの電源を切り、カメラ撮影などするなと主催者が言った。目の前のスピーカーと同じ時間、同じ空間を共有している今、この場に集中してくれということだろう。

講演会は3時頃に始まり、途中で一時間の休憩を挟んで20時頃まで続いた。20時からも食事会だった。一人18分、交代時間2分の設定であった。



特に興味深かったのは、Virtual Reality と、選択的に記憶を消去する技術、そしてプラズマ加速器だ。

Virtual Reality (VR, 仮装現実、バーチャル・リアリティ) は教育の現場を改革することが目的。この装置では、ラボを仮想体験できる。実際に装着したが、首の動き、回転に対応して視点がなめらかに動く。そして、オブジェクトが中心にくると、注目する。そして、メガネの右をタップして選べる。まるでNintendo64の「ゼルダの伝説 時のオカリナ」にあった傑作アイデア、Z注目のようだった。VRは、この技術のもとになった飛行訓練はもちろん、ゲームセンターや軍の戦闘訓練にも活躍できるだろう。今回のVRは、視界に自分の手を確認できなかったり、グラスのタップが必要だったりしたが、これが発展していけば、映画「マトリックス」の世界により近づくのかもしれない。


選択的に記憶を消去する施術も興味深い。実際にそのようなことはマウスで確認されている。記憶を消すというのは、どういうことなのか。カンファレンスで離された思索が興味深い。人間の同一性は、それまでの連続した自己の意識によって作られている。記憶が欠損するというのは、その自己を失うことではないか。例えば、「他の人は、俺がやったって言うのだけど、俺はそんなこと覚えてない」という場合、その人間はどう捉えるのか。まるでアニメ、コードギアスの世界だ。ここまで読んだ読者は、記憶を消去するのは倫理的に、実存的にまずいことだと言うかもしれない。しかし、そう単純ではない。記憶を消去することが治療となる場合もある。戦争の帰還兵の多くはPTSDを患っている。
ただし、長期戦の果てに政治的勝利を得られなかったベトナム戦争以降、徒労感を味わった帰還兵のPTSD問題は深刻化し、イラク戦争においては帰還兵の1/3が何らかの形でPTSDを患っている。(ベトナム帰還兵 - Wikipedia)
深刻なPTSDで自殺してしまう人もいる。そのような患者を、記憶消去の施術で救えるかもしれない。これに対して、必ずしもNOだと言えるだろうか。

また、講演会では離されなかったが、麻薬中毒、アルコール依存症の患者を救う可能性もあるだろう。依存症は、耐性ができて、ある一定量では同じreward (快楽、報酬) が得られなくなってしまい、より多くを必要とするようになり、自制がきかなくなることだ。似た言葉に中毒があるが、これは単に許容摂取量を超過したことを言う。たとえば急性アルコール中毒という、大学の新歓コンパの類義語のようなものを思い出すとわかりやすい。次のような記事は、記憶消去が依存症の治療の役立つ実用的な可能性を期待させる。

「酒への渇望」を消去する薬:ラットで成功 « WIRED.jp
UCSD、光で記憶を消去、蓄積、読み出しできる | e.x.press

おそらく、記憶消去が普及するころには、人は国や地域ごとに異なるだろう新たな法律や条例を制定して、記憶消去についての約束を築き上げていくのだろう。尊厳死や中絶などのcontroversialな話題でいっぱいの医療倫理でよく起こることだ。

プラズマ加速器という構想がある。現在の加速器では探求できないエネルギーレベルにアクセスするために考えられている一つの方法だ。来年からプロジェクトが始動し、数年以内に開発を始めたいと、プロジェクトリーダーが語っていた。詳しいことはわからなかった。調べたところ、電場を高めるための、電子プラズマ波に電子を乗せて加速するらしい。
残念ながら固体の加速管を用いる普通の方法ではこの加速勾配に限界があり、1億電子ボルト/メートル以下です。それよりも強い勾配(10億電子ボルト/メートルやそれ以上を実現するには、プラズマを使う以外ありません(参考文献[1])。(独立行政法人日本原子力研究開発機構
ここの参考文献[1]は西田靖:「プラズマを利用する粒子加速器」日本物理学会誌48巻(1993) 173が例示されている。ひたすら巨大化するばかりで限界を見せ始めていた、加速器を用いた素粒子研究がパラダイムシフトを迎える日は近いのかもしれない。

お昼すぎの休憩時間。

ドライアイス入りアップルジュース



これはグローブをした手を上下させたり、指をたてたり、手を握りしめると、対応して音が流れる仕組み。カンファレンスではこれを用いたパフォーマンスがあり、拍手喝采だった。

バーチャルリアリティ。レンズにスマホを取り付けている。


本人にはモニターの様子しか見えていない。前が見えていないくせに、うかつに歩き出したり、手をのばしたりして、周りの人にぶつかって迷惑をかけていたのがおもしろかった。


ここから晩餐会。
カナッペばかりだ。


こんな寿司の発想はなかった。寿司といっても、冷えきったご飯がおいしくない。しかも、きゅうり巻き、人参巻きしかなかった。

赤ワインにもドライアイス。その後、白も飲んだ。どちらもブルゴーニュだった。


コメント