【くたばれボッタクリ!】被害報告: エルサレムで5万円を騙し取られたこと-Fuckin' Rip-Offer【イスラエル】

あんな盗人はぶち殺してやりたいよ。

2015年11月1日、16時ごろ。旧市街を観光しようと向かっていたときだった。Jaffa門の外で男に声をかけられた
観光するならガイドしてやると言うのだ。悪徳か、まじめに働いている人間か見極めつつ、話した。ふだんなら相手にしないが、自分には時間があまりになくて、道を迷ったり、まわるべき教会の順番を間違えて、教会がしまってしまったりしたら困るのだった。値段は交渉次第だと言う。聞いてみると、アメリカ人からは900NISとったと言っていた。このとき、自分は本当に頭が悪かった。30倍すれば日本円になるが、2,700円と勘違いしてしまった。実際は27,000円で、ゼロが多い。しかし、ただの観光ガイドでそんな値段は想定していなかった。時間のない僕は、渡りに船かと思いつつ、ちゃんと値段を交渉する覚悟を決めつつあった。



Jaffa Gate前で盗人に撮ってもらった写真。


手持ちのお金がないことを説明すると、観光が強引に始まった。方向が違うなと思っていると、まずATMにつれてこられた。そして、ATMの画面で僕はまちがえて英語ではなくヒンディー語を選択してしまった(モニターの矢印がわかりづらかった)。男は、親切そうに操作してくれて、なぜか引き出し金額を、わざわざ「一覧(100,200など)以外の金額、1, 5, 0, 0, 決定」と押してくれた。1500NISもの大金を引き出し、男はそのお金を握りしめた。猛烈な抗議をするべきところだったが、45,000円と4,500円を勘違いしたぼくは、観光がなくなる時間が惜しくて、「あとで観光が終わったら、余ったぶんを返す。教会などに入るのに、もう遅い時間だから、こっそり賄賂を渡さないといけない。だから900じゃないんだ。」と言われ、怪しみながらも納得した。




聖墳墓教会に入る前から、中の写真。盗人に写真撮ってもらった。


彼の態度は、とてもなれなれしく、恩着せがましい。「ぼくたちは皆兄弟だ」、「俺に会えたのはラッキーだ。」、「悪いやつらが観光客を狙ってるから」、「終わったら家に招待しよう。家族も紹介する。」などと平気で言う。子どもの写真まで見せてきた。

聖墳墓教会に入った。写真を撮っていると、彼が「閉門ギリギリで入ったので、15NISを渡してくるから待っていろ」と言う。他の観光客もふつうに入っていた。あやしい彼についていこうとも思ったが、15NIS、しょせん450円だし、目の前の神父の祈りを見るのに集中しようと思った。それで、教会を出ると、なんと僕の聞き間違いだったのか、「1500NISを渡した」と言う。しばらく4,500円かと思ったが、ふと45,000円だということに気がついた。

そんなこんなで、日も暮れつつあった。しつこく彼はつきまとってきた。何だかんだいって、観光は続いていたので、ムカつくけど、とりあえず観光をしていこうと思い、険悪ムードを非難されながらも、ともに歩いた。しかし、彼が歩いていたのはATMに向かってだった。さきほどの1500NISは教会にあげたもので、自分はまだ1NISも受け取っていないから、支払えと言うのだ。ぼくは、とりあえず500NISをおろし、自分の手に握った。観光がすべて終わったら払うと言った。

「何だよ、兄弟。そんなに疑うなよ。今すぐ500NISをくれ。そしたら案内しよう。僕は君に教会を案内したのに、君は1NISも払っていない」
「1500NISを持ってるくせに、よく言う。」
「あれは教会に渡したって言ってるだろ」
「まだ信じてないのか、兄弟だぞ俺たちは」

などとバカな会話が続いた。

盗人が自分の庭のように旧市街を歩いていた。キリスト教徒居住区には友人が多いらしかった。


「どういうことだ、45,000円がいくらかわかっているのか!?他の人は無料で入場していたし、教会が金とるなんてことがありうるか!ふざけるな!」
「他の人はツアー客だから前もって支払ってるんだ。兄弟なのに、疑うのか?悲しい。この国は物価が高いんだ。45,000円なんて端金だ。何にもならない。お前の国より高いぞ。」
「ジュネーブはディナーで7000円するぞ」
「イスラエルなら3万円もする。ここは高いんだよ。お前の国みたいに安くない」
「はあ?」

もう話にならない。どうしたらいいかわからなかった。何で逆ギレしてるんだよ。犯罪者はいつも逆ギレする。チンピラの手法だ。イスラエルは600円あればフムスで腹いっぱいになる国だ。彼に何を言えばよいのか、平気で嘘をつくし、逆ギレする。盗人にATMを連れまわされたせいで、観光もできずに日が暮れた。もはや、2000NISを出勤したぼくのカードは、ATMの出金限度額を超えていたらしく、何も降ろせなかった(限度額を設定した覚えはないのだが)。盗人は苛立っていた。

「そんなに疑うなら、ぼくは君のガイドをできない」
「わかった。じゃあ。」
「おい、ちょっと待ってくれ。200NISでいい。先に渡してくれ。教会に入るときやタクシーで必要なだ」
「そのときは僕が払うからいい。」
「俺には子どもが4人もいるんだぞ。」彼は子どもが4人いることを何度も強調した。
「知るか。じゃあ一人で観光するわ。」
「待ってくれ。」

そう言った彼はタクシーをとめた。ヘブライ語で運転手と話し、オリーブ山まで向かった。

タクシーに乗っても、
「70NISを40NISまで負けてもらった。感謝しろ」
「お前たちの会話などわかるか。どうせ、もともと40だったんだろ。」
などと喧嘩していた。

オリーブ山から夜景を観光している間に、運転手に待っていてもらった。すぐ近くのGolden Gateまで行くのに、さきほどの40含む100NISを支払った。なぜ短い帰りが行きの460NISもするんだ、より長い行きが40NISだったじゃないかと聞くと、横から盗人ガイドが口をはさみ、

「そんなに子どもっぽく振る舞うのはやめろよ、お前はタクシーを待たせていただろ」

などと言ってきた。ぶち殺してやりたい気もしつつ、はやく離れてせいせいとしたかった。僕は門で降り、盗人は、別れ際に"God Bless you"と言い、タクシーに乗り続けた。彼のタクシー代金まで払ったのが、またシャクだ。このときタクシーで警察署まで同行してもらえばよかった。

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うんざりしつつ、暗い夜のなか、簡単な観光を一人ですませ、ダビデの町の方まで行ってみると、休憩中のタクシー運転手に声をかけられた。話のついでに事情を話すと、

「何でお金を握らせたんだ?今から警察へ行くんだ!あ、いい考えがある。ATMなら監視カメラがあるから、男の顔も記録されてるはずだ」

と協力的だった。旧市街にはそこらじゅうに警察官がいる(そのときまで、軍人だと思っていた)。彼らに事情を話すと、驚き怒って、そして警察署への道順を教えてくれた。警察も腐敗して相手にしてくれないだろうと思っていたので、彼らの正義感溢れる誠実な態度に驚いた。

Jaffa Gate近くにある警察署に着いた。警察官の方々は親切だった。事情をちゃんと聞いてくれ、旅行者を狙った事件に対して申し訳ないと話した。

最初に話したのは、守衛の当番をしていた穏やかな警官だった。大学に通い直して中東の歴史を学んでいるらしい。そのとき彼が読んでいた本も、イスラムやムハンマドに関する中東の歴史だった。「この街には多くの人種や宗教が住んでいるので、理解することが大事だから。」と話していた。プチトマトをたくさんくれた。好物でもないので、2個ほど食べたところ、「遠慮しないでもっと食べてくれ、食べきれないんだ」と言われ、もっと食べた。担当する警官が来るまで待っていてくれと言われた。

彼と話していると、もう一人の黒人の警官がやって来た。先にいた学生をしてる警官からヘブライ語で事情を説明されていた。風格がちょっと怖いなと思った。説明が終わると、彼はこちらを向くやいなや、"Selfie, Selfie. Don't worry."と言って僕と自撮りを始めた。陽気な人だった。緊張がほぐれた。その後、ぼくも自分のスマホで自撮りし、日本のことや、エルサレムのことを少し話した気がする。

警官二人と僕で話していたら、元気のいいけど口の悪い警官がやって来た。

「おう、お前はどうしたんだ?中国人か?日本人か。東京かよ。いいとこだな。おお、1500も盗まれたのか。最悪だな。どうせアラブ人のしわざだよ。お前はこの国好きか?え、好き?本当かよ。俺は嫌だぜ、こんなとこ。アルメニア人やアラブ人なんかみんなぶち殺してやりたいわ。もしアメリカ、中国、日本に行けたら、もう戻ってこないね。それか、あいつらこそ国外に出て行けばいい。」

などと話した。犯罪は全てアラブ人のしわざだと、その場にいた3人の警官の意見は一致していた。しかし、彼が憎んでる相手がアルメニア人、アラブ人だったかは記憶が定かではない。


一見怖かったが、親切だった。会うなり突然のセルフィーをした。



最初に対応してくれたのが、守衛していた彼。大学に通い直して中東の歴史を学んでいるらしい。そのとき彼が読んでいた本も、イスラムやムハンマドに関する中東の歴史だった。曰く、「この街には多くの人種や宗教が住んでいるので、理解することが大事だから。」


その後、一時間ぐらいしたころ、担当するらしい警官が来たが、英語が話せず、どこかへ去った。部屋を守衛室から移動した。簡単な荷物検査をして警察署の中の部屋に入った。また待ちぼうけだった。隣室から電話している声が聞こえた。彼が担当らしい。15分ぐらいだっただろうか、電話が終わると、彼が出てきた。英語を話せる人も一緒にいた。事情を説明した。

夜の10時頃だった。偉い警官と、通訳者となった警官は、ていねいに対応してくれた。しかし、そこの警察署は旧市街の内部のみを管轄しているとのこと。ATMの出勤をとらえた監視カメラは、旧市街の外のMamilaというショッピングセンターにあるので、管轄外だと言われた。新生銀行でおろしたので、海外出金があると即座にメールで連絡が入る。出金の時間がわかるので、監視カメラはすぐに確認できると思ったのだが、そうでもなかった。そして、そちらを管轄する警察署は近いのだが、今行ってもすぐに監視カメラを確認できるわけじゃないだろう、とのことだった。もう一つ、50NISをおろしたATMは、どこだったかわからなかった。親切な警官たちはプチトマトをくれたのみで、力になってくれなかった。

僕は、その後エチオピア料理を食べること、ヘブライ大学で講師をしている友人の家への招待があることから、残りのイスラエルにいる時間を楽しむことにした。最初に守衛で会った警官は、まだ守衛室におり、――なぜか守衛室は真っ暗になっていたが――、事情を話すと、とても申し訳無さそうだった。「あなたのような誠実な人に会えただけでも、よかった」と話して、僕はその場を去った。

そして、エチオピア料理と、宅飲みが終わり、ホテルに帰った。起きてから、警察を思いつかなかった間抜けな自分、割り算を間違えた自分、安易に相手に金を渡した自分、昨年のスマホ強奪に引き続きまた被害にあった自分、相手が悪いと思うのが困難で自分を責めがち自分への怒りや絶望で気がおかしくなりそうだった。神を祈りつつ犯罪を働くとはどういうことか。ぶち殺してやりたいわ。世界のボッタクリと戦うぞ。自分を変えたい。

口座の入出金明細を見たら、5万円でした。記事のタイトルも変えました。マジでムカつく。自分が何のために生きてるのかわからなくなる。

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